動脈を用いたバイパス手術 ( 2 / 4 pages)
* 最も心臓バイパスに適した素材の内胸動脈


内胸動脈バイパス図

 現在のところ心臓バイパス手術において、最も使用されていて、かつ長期開存成績の良い血管に内胸動脈 (ITA : Internal Thoracic Artery) があります。 内胸動脈は頭や腕に向かう重要な血管である鎖骨下動脈から分岐して胸板の内側を走行する血管の一つで、その周囲を栄養している左右一対の血管です。この内胸動脈の末梢側をはがしてきてその断端を冠動脈に吻合します。内胸動脈は太さが冠動脈と同じくらいで、血流量も多く、心臓からの距離もかなり近いことから格好のバイパス素材だと言えます。
 内胸動脈を含むその他のバイパスに用いられる動脈を冠動脈の方へ血流を変えた場合、本来の組織(内胸動脈の場合は胸板)が血液不足になると考えられますが、これらの場所は他の血管から血液が回り巡ってくるためそれほど心配はいりません。
* その他に冠動脈バイパスに使用される動脈

胃大網動脈バイパス図
 その他に冠動脈バイパスに使用される動脈としては胃大網動脈 (GEA : Gastro-Epiploic Artery) 橈骨動脈 (Radial Artery) があります。

 胃大網動脈は胃を包む大網と呼ばれる膜を栄養する血管です。直接胃壁を栄養しているわけではないのでバイパスに使用されます。大網より胃大網動脈を剥がしてきて、横隔膜を通して冠動脈に吻合します。

 橈骨動脈は前腕を走行する2本の大きな動脈のうちの一つで親指側を走行する血管です。この橈骨動脈を切り取ってバイパスとして移植します。一端を大動脈に吻合し、もう一端を冠動脈に吻合してバイパスとして使用します。


静脈を用いたバイパス
* もっとも古くから冠動脈バイパスに使用されていた大伏在静脈

大伏在静脈バイパス図
 冠動脈バイパス手術でもっとも古くから数多く使用されてきたのが足の内股の表面を走行する静脈である大伏在静脈 (Saphenous Vein)です。

 この静脈を切除しても深部大腿静脈と呼ばれる静脈が代役を果たすので問題はなく、比較的血管の長さも長いので複数のバイパスに適しています。切除した血管の一端を大動脈にもう一端を冠動脈に吻合してバイパスとします。

 大伏在静脈は冠動脈に比べて径が太いため血流が血管内でよどみ、血栓が生じて閉塞しやすかったり、静脈特有の逆流を防ぐ弁が所々にあったりする等の欠点がありますが、それらの欠点を補いながら現在でも補助的に数多く使われています。


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OO 心臓血管センター北海道大野病院